下記は2000/1/10、JARL中期計画(案)に対する意見書を専務理事さんあてe-mailしたものです。

 

 

中期計画(案)の策定御苦労さまでした。

 

この時期、会館取得案が盛り込まれ、連盟が財政的にどの程度緊迫感を感じておられるのかどうか計り知れないものが有ります。しかしそれはむしろ先見の明有りと称えなければならない発案で有る感じております。願わくばタイムチャートに詳細な記載が有れば計画の成熟ぶりが窺えるのですが残念ながらそれは見受けられませんでした。

 

中期計画冒頭で策定者自身も述べておられるとおり、一つの業界が単一の事業で40年にも渡り好況を続けた事自体、奇跡的で有ったと言うべきでしょう。

何事も「栄枯盛衰世の習い」20年〜良くて30年が好調な期間と言うのが一般的な見方で有ります。

事業のライフサイクルを創成期・成長期・成熟期・衰退期と大まかに定義して呼ぶなら、経年・諸般の状況及び収支の状況から見て我々のアマチュア無線は衰退期に有ると言わざるを得ません。

 

今、我々はJARLの衰退期を走り下っているのだと言う自覚を持つ事が先ず必要で有ります。

 

衰退期の戦略は下記が考えられます。

 

1. 家内工業的に事業規模を縮小して細々と継続する。あるいは廃業する。

2. 無線団体の吸収合併を行い、無線界のシェアを押さえる。あるいは逆に身売りする。

3. 補助金の獲得に努力する。

4. 新規事業を興す。

 

上記を解説すると、

1.項は中期計画にも見られる様に順次縮小傾向をたどり、良く議論に出てくる様にやがては趣味の任意団体と言う事態に陥る。一見さも正論の様に度々論じられるこれは、公益法人の立場を守るので有れば良策とは考えられない。しかし、膨れ上がった予算を正常なバランスに戻す事に付いては異存の無いところである。

当然、当面廃業は考えない。

2.項は他の無線関係団体と合併を行い同じノウハウで行える事業の効率化を計ろうと言う試案で有るが、実現性に疑問が有る。

当然、身売りは考えない。

3.項は4.項にからむ当初資金獲得の方策である。

4.項を語る前に、中期計画書の最大の弱点は、収入の大半(約78%)を現状会員からの会費収入に置いた思考である点にある。要するに新たな収益増大を計る施策が盛り込まれていない。

 

4.項の戦術Aとしてはインターネット無線プロバイダー事業を提案したい。

アマチュア無線によるインターネット接続を簡易な方法で実現させ、無料の通信回線上で行うインターネット実験(接続方法・接続機材の研究・無線ディジタルネットワークの問題点の検証・非常時及び災害時の無線ディジタルネットワークの活用方法の研究等)によりデジタル会員を募集し、会員の増加を計る.

(5年後2005年には100万人の会員を目標とする、デジタル会員会費収入は100億円を目標)

インターネットは成長期に入ったばかりの有望な市場です。急激な勢いでUSERが増加中(*1)で有るだけで無く、その精神や技術的興味はアマチュア無線と相通ずる物があります。そして、その創成期には我々もパケット通信上でTCP/IPを動かし又転送型BBSのネットワークを完成させ大いに絡んできた経緯が有ります。

パケット通信を使える様になった時、アマチュア無線は始めてブロードキャスト出来るメディアを手に入れたと大いに喜び又誇りに思ったものでした。しかし、JARLはその発展に関し、さしたる援助を行わなかったと記憶している。

今回はその轍を踏まず、積極的に援助し又それを会員獲得の手段としなければならない。

この通信で使うのは2.4GHz,5.6GHzが想定されている事から、使う事により前記のバンド防衛となることは当然である。しかし、それを行わないでそのバンドを使わないのなら他の通信にバンドを明け渡す事になるのは推測して有り余る。なぜなら無線LANも他の商業通信も同様な思考でGHzのバンドを必要としているので有ります。

(今後守るべきはU/SHF帯なので有り、絶対HF帯と交換してはなりません。電波伝播が海外に及ばないから国内の問題とするのも大きな間違いで、グローバルな規格で動いているコンピュータの動向を視野に入れてITU等国際会議での発言を望むものです。老婆心ながら付け加えさせて頂きます)

 

4.項の戦術B

中期計画でも指摘されているように、申請書の販売は今後急激に落ち込む。その指摘はなされたがそれをカバーするための代替え案が提案されないのはそのまま収益減少を意味する。

戦略BではJARL年鑑CD-ROMの作成(申請書書式もこの中に含める)・販売を行うを提案します。

会員局名禄のCD-ROM化は時期を見てでは無く直ちに行わなければならない。(数年来指摘させて頂いているのに未だ実現されないのはなぜか)

 

4.項の戦術C

事務局の合理化であるが、リストラの暗いイメージだけで無く、これからは連盟収益事業の根幹としてお働き頂かなくてはならない。

信賞必罰の査定制度を取り入れ収益に貢献の有った者は特段の収入増加をもって手厚く待遇しなければならない。正に民間と同じいやそれ以上に、連盟非常事態としての認識を事務局職員全体に求めたい。

事務局職員側から発する連盟改革案も発表を求めるものであります。(集約されたもので無く個々の意見を必要と感じます)

 

4.項の戦術D

今回の発表は控えさせて頂きます。

 

 

2000/1/10

                        Reported by JA5HTP/山野常禎