人間の手はよく働く。力強く、繊細に、
 機械で山をも動かせば、
 米粒にも手紙を書く。
 人はその手にいろいろな思いを託す。

 

一手独り拍つは、疾しといえども声無し。
----片方の手だけではどんなに速く動かしても拍手にはならない。

韓非(前三世紀中国戦国時代の思想家「韓非子」)

 

底知れぬ謎に対ひてあるごとし
死児のひたひに
またも手をやる
----無駄とは知りながら、手の及ばぬところへつい手を伸ばしてしまう、哀しい親心。

石川啄木(1886〜1912 歌人「一握りの砂」)

 

無手の者よく打つ。
----方法や手段や策にとらわれない方がかえってうまく事が運ぶ。

ことわざ

われわれは天にいます神にむかって、手と共に心をもあげよう。

『旧約聖書』(哀歌3章41節)

 

 

福音社『サインズ・オブ・ザ・タイムズ』2000年3月号 今月の言葉より引用