親子

 

 親子というものは夫婦と違って、放っておいてもその関係は切れません。
ですから、精神的存在になるために人は、切れない親子の関係から離れ、切れる
夫婦の関係においては結びついてゆく努力をせねばなりません。
 およそ精神というものは、放っておいても成り立つ甘えた関係の中では成長するはずはないのです。
子は離れねばなりません。親は離さねばなりません。これは冷淡ではなく、冷静なのです。冷静に親の限度に
留まり、子が精神的存在になってゆくように自ら離れてゆく時、親もまたはじめて精神的存在になるのです。

 

藤木正三(牧師 1927〜 『灰色の断想』より)

 

 

子どもは大人の言うことは聞かないが、例外なく大人の真似をする。
他に手本がないから、そうするしかないのである。


ジェームズ・ボールドウィン(アメリカの黒人作家 1924〜1987)

 

 

 

福音社『サインズ・オブ・ザ・タイムズ』2007年4月号 今月の言葉より引用