二人の関係

 

 二人、それは人間と人間とが結ぶ最小の関係です。しかし、人間の問題を示す意味においては、それは最大の人間関係です。二人においては、相手からたとえ目をそらすことができても、自分からは決して目をそらすことはゆるされなくなるからです。
 目をそらすことをゆるさない、この自分自身への緊迫、二人の関係が他にまさって人間の問題を鋭く示す所以は、これです。二人の関係ほど、自分の人格的損壊を痛烈に自覚せしめるものはありません。人間に孤独を味わわすのは、恐らく一人よりも二人においてでありましょう。

 

 

藤木正三(牧師 1927〜 『神の風景』より)

 

 

 

 

世間でいうように、友情のつとめが果たされるためには、一緒に何年もの塩を食わねばならない、というのは本当である。

(一緒に塩を食う=苦しみも悲しみも共に分ち合うの意)

キケロ(前106〜前43 ローマの政治家)

 

 

 

 

 

福音社『サインズ・オブ・ザ・タイムズ』2007年6月号 今月の言葉より引用