Canon NF1が突然欲しくなった。というよりCanon FD Lensをどうしても使いたくなったと言う方が正しい・・・・。
欲しいと思い出すと寝てもさめてもその事ばかり考えるのは当方の悪い性分である。
ちょうど海外出張に出かけるため会社から出張費の前払いがあり、また少しだがボーナスの余りもあった。ある程度まとまった金を手にすると、これでNF1が買えるとばかりに行きつけの中古カメラ屋に向かった。
その店に程度はそこそこだが、手ごろな価格のNF1が在庫であるのをすでに確認してあった。今日から僕もマニュアルCanonユーザだと思うと心も弾む・・・・。
店にはいるとお目当てのNF1がまだ売れずにショーケースの中にあった。
店の親父にNF1をショーケースから取り出してもらい、何度か空シャッターを切る。独特の金属音。完全なメカニカルシャッターではないが（NF1はハイブリッドシャッター機）ゴリゴリした巻き上げ感とともに、これがNF1だということを主張している。つや消しの黒ボディもニコンとはちょっと違った独特の感じがある。そしてずしりとくる重み。
ボディの角がかなりすり減り、真鍮が覗いているが、ファインダーに曇りはなく、ちゃんと露出計も作動している。使う分には全く問題ない。よし！これを買う。
お支払いは58000円。AEファインダー、50�@f1.8レンズ付きでこの価格なら、そう高い価格ではない。
50�@レンズは別のレンズを購入予定なので、どうでもよかったのだが、その分、値段を引けと言うのも何なので、付けたまま買った。
店を出るとその足で、今度は別の中古カメラ屋へ走り込んだ。そこにはFDレンズが大量に並べられている。買うレンズは取りあえず50�@f1.4と85�@f1.8である。この２種類のレンズを何本か見比べて程度のよいものを購入、先に付いていたレンズはガタがきていて傷もあり、よく見るとカビもあったので、この店に1000円で引き取ってもらった。予算が少し余ったので、もう一本レンズをとFDレンズでは中古価格の安い28�@F2.8を購入。本当は少し値が張っても24�@がほしかったのだが在庫がなく断念した。ここまででその日の予算は終了。ボディとレンズ3本でしめて.12万円。最新のフラッグシップ機を購入すれば、とてもこの値段では済まないから、お遊び兼お仕事にも使えるカメラ代としたら安いものである。

購入の翌日、テスト撮影を兼ねてお友達に頼まれたコスプレパブのメニューボード用のお姉ちゃんを20本ほど撮影する。現像の上がりを見ると、露出の癖を掴み切っていなかったため若干オーバーかというコマもあったが許容範囲（露出補正量の把握にはちょいと時間がかかる）。それよりも50�@と85�@の描写性能にほれぼれする。学生時代、友人がCanonユーザでこの2本を使っていたが、ニコンユーザであった当方も欲しいと思うレンズであった。卒業から15年めにして所有したがもう少し早く買っておいても良かったレンズである。
しかし、ポートレート撮影では手巻では指が痛くなる。特にNF1のゴリゴリした巻き上げ感はちょいと良くないということで、またしても中古カメラ屋に走り、モータードライブFNを購入した（このモータードライブFNは後に別のカメラ購入資金ねん出のためYahooオークションにて売却した。購入価格より高い値段まで競り上がったのにはビックリしたが・・・・）

ところが、悪夢がやってきた。出張先のネパールへボディ、レンズが軽いということでサブカメラとして持込んだのだが、なんと、ヘリコプターに乗り込む際に落としてしまったのである。正確にいうと、この日は悪天候で短時間で移動しなければならないということで、ほとんどホバリング状態で飛び乗り、荷物は後部座席に投げ込んだのが良くなかった。きちんとバッグのふたをしていなかったため、NF1が地面にまっ逆さまに落ちてしまったのであった。
それから1週間の仕事は最悪だった。メインはデジカメだったがいちいちパソコンにデータを落とせず（というよりもヒマラヤには電気がない、大食らいのパワーブックの内蔵バッテリーではとても追い付かない）また予備の予備として持込んだカメラはニコンのFM2、1台のみでしかもレンズは50�@と17ー35Zoomだけ。まいったなあと思いつつ仕事をしたが、非常にやばいとこだったのである。

帰国後、NF1購入の事情を知る後輩から「出張費を転用するからバチがあたった。中古を仕事に持込むからそんなことになるんですよ！」といわれ、おまけに、NF1を修理に出すと落下品ということでレンズも含めてオーバーホール。ファインダーカバーは新品に交換と重修理となり、その費用が相当のものとなった。

とまあ、中古で買った割にはえらく高くついたNF1だが、修理完了後はファインダーは新品となって山用の主力機として活躍している。レンズも24、200ｍｍを追加。M４２レンズ用純正アダプタも入手でき、古いペンタックスやフジのレンズ、あるいはロシア製レンズを使用するためのベースとしても重宝している。