「15少年漂流記」のみのコレクションのつもりが、目についたヴェルヌの他の作品も気になりはじめ、文庫を主体にぽつぽつと購入しています。圧倒的に目につくのは「15少年漂流記」ですが、それについで「海底二万里」「八十日間世界一周」をよく見ます。私の大好きな「地底旅行」は角川、岩波版ともほとんど目にしません。文庫本としてはこのほかにも創元推理文庫と集英社文庫からまとまった作品が出ていますが、古書店ではほとんど目にしません。どさっと出てすぐ品切れになる傾向がヴェルヌ作品にはあるため、ヴェルヌのファンが手放さないからだろうと思います。


この「八十日間世界一周」は1987年に出た旺文社文庫版(木村庄三朗訳)ですが、装丁がちょっと気になって購入しました。凝ったデザインですがバックに描かれた蒸気機関車が怪しいですね。タンク式機関車とテンダ式式機関車がミックスされたものになっています。絵からみて国鉄の細小蒸気機関車であったB20を参考(というかそのものですね)に描いたと思われますが、テンダ部は余計です。客車もどうみてもオハ35系で、「八十日間世界一周」の時代背景である1800年代後半(「八十日間世界一周」の初版は1873年)にはそぐわない気がします。デザイナーさんが明治期あるいは欧米の古典蒸気機関車の写真でも参考にしていれば、よりよい装丁になったのにと惜しまれます。


この文庫は角川版ですが、表紙がちょっと異質です。アニメに詳しくないのでこの表紙絵のアニメーション画についてはよく分かりません。カバー裏に日本アニメーション・テレビ朝日1987とCマークがあるので多分アニメ化されたのでしょう。全般に言えることですが映画化されたりアニメ化されるとその宣伝も兼ねて表紙カバーのデザインが変わります。一時的な変更に終わることも多く、表紙デザインは希少といえば希少なものかもしれませんが、部数としてはかなり出ているはずです。

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