「十五少年漂流記」探索記録

2001.10.05
「十五少年漂流記」探索の手始めとして開始した県内のリサイクル書店めぐりが一段落した。まわった店は10店あまり。戦果は文庫と児童書合わせて18册である。特に角川文庫版は5種のバリエーションを手に入れた。また旺文社文庫版2册を入手できたのもありがたい。旺文社文庫は絶版になって久しく、通常の古書店では1册100円ではまず売ってくれない。
ただ、予想外の問題が発生している。文庫本コーナーおよび100円均一コーナーを見て回っていると結構「おおっこれは!」という本に出会うのだ。
100円均一で「十五少年漂流記」をどこまでコレクションできるか?ということでスタートしたこの企画、最初から「100円均一で探すお気に入りの本」になってしまいそうだ(笑)。
ちなみに「十五少年漂流記」以外に手に入れた本は次の通り。

「八十日間世界一周」 ジュール・ヴェルヌ 木村庄三朗訳 旺文社文庫
「時に忘れられた世界」 エドガー・ライス・バロウズ 関口幸夫訳 ハヤカワ文庫
「アク・アク 下巻」 トール・ヘイエルダール 山田晃訳 現代教養文庫
「大空に生きる」 ハンナ・ライチェ 戦史刊行会訳 朝日ソノラマ文庫版航空戦史シリーズ
「インドとイギリス」 吉岡昭彦 岩波新書青版


この中で「時に忘れられた世界」はこれまでバロウズといえばターザンとばかり思っていたものが実はロストワールド系の物語も書いていたのだと、おのれの不勉強をこの本を手にして知った。原本は「The Land that Time Forgot」(1924年初出)シリーズ3編の内の一遍だそうだ。
「アク・アク」は「コンチキ号探検記」で著名な考古学者ヘイエルダールのイ−スター島調査の記録。今回、入手したのは下巻であるから、これから上巻を探す楽しみが出来た。さらにこの本の表紙裏には他にも調査・探検記録シリーズとして3册が広告されている。「秘境ブータン」と「アフリカの部族生活」は見かけたら買わねばなるまい。
「八十日間世界一周」は旺文社文庫版ということと装丁のイラストがちょっと変で買ってしまった。「大空に生きる」は第二次世界大戦中のドイツの女性テストパイロット、ハンナ・ライチェの自叙伝である。「インドとイギリス」はインドにおけるイギリスの植民地政策が何をもたらしたかを現地をルポしまとめたもの。インドの鉄道についての章があるため購入した。書き出しにDC8が出てくるルポとしては少し古いものだが、簡単にイギリスのインド支配の影響を知るには好著だと思う。装丁は懐かしいパラフィン紙で表紙を包んだものである。



2001.10.07
大阪に所用で出向く機会があり、空き時間を利用してナンバ古書の街へ探索に出かけた。南海難波駅周辺(大阪球場のあたり)は再開発が進んでおりナンバ古書の街も新しい場所に3年ほど前から移転している。大阪ということで100円均一本からかなりの確率で「十五少年漂流記」を発見できると考えたのだが、ほとんど見かけなかった。というよりジュール・ヴェルヌ関連の文庫は全くと言ってよいほどなかったのである。見つけたのは昭和48年発行の旺文社文庫だけであった。
今回は100円均一から見つけだすというテーマから少し外れるが、できれば戦前の森田思軒訳(初訳)の「十五少年」を見つけたいという希望もあった。森田思軒訳の「十五少年」は岩波文庫から出ていたということは調査済みであり、戦前の岩波文庫をあたれば、多少値が張っても見つけられると考えたのだが、これも見つけられなかった。
しかし、良い収穫もあった。改造社から出ていた世界大衆文学全集第40巻「ロビンソン・クルウソオ・十五少年・他一篇」白石實三訳 S5.8.26発行を入手できた。文庫サイズの厚手のしっかりした表紙の本である。残念なことに森田思軒訳とタイトルは同じだが、文章はより平易なものとなっている。総ルビで旧漢字ながら読みやすいが、言葉に時代を感じさせる表現があるものの、現在読める抄訳とほとんど変わらない。初訳を読みたい希望はかなえられなかったが、昭和の初めには現在とほとんど変わらない文体の訳が読まれていたことがこれで分かった。ちなみに購入価格は700円である。

2001.10.14
愛媛県方面へ所用で出かけ、ついでに伊予三島市から香川県高松市までのBooK Off5軒を梯子してきた。「十五少年漂流記」の戦果は3册、2冊は100円で1册は何と50円で入手した。内訳は文庫で角川文庫の装丁違いを1冊。2册は児童書で、
ポプラ社・世界の名著24および小学館・カラー版名作全集少年少女世界の文学フランス編4である。じょじょに「十五少年漂流記」コレクションは泥沼に入っていっているが、行く先々で見つかるため、どこまで集まるのか、いったいどのくらいの「十五少年漂流記」があるのかも予想がつかない。
ところで、またしても「十五少年漂流記」以外の100円均一本を大量に買ってしまった。本当の所はまだ欲しい(ちょっと装丁や内容に興味がそそられた)のがあったのだが、予算の都合もあり、買うのを控えた。それでも文庫14册、単行本8册を購入したのだから、始末におえない。
戦果は以下の通りである。

改造人間の島 H・Gウェルズ 旺文社文庫
羅生門・鼻・侏儒の言葉 芥川龍之介 旺文社文庫
坊っちゃん 夏目漱石 旺文社文庫
李陵・弟子・山月記 旺文社文庫
アンナ戦場に消えた青春 リンダ・アトキンソン 旺文社文庫
水平線の少年 牛島龍介 旺文社文庫
またちょっと面白い話 マーク・トウェイン 旺文社文庫
妖怪談議 柳田國男 講談社学術文庫
沈んだ世界 J・Gバラード 創元推理文庫
インド洋の死闘 D・Aレイナー 創元推理文庫
OLときどきネパール人 瀬尾里枝 知恵の森文庫
地上から消えた動物 ロバート・シルヴァーバーグ ハヤカワ文庫
戦国自衛隊 半村良 角川文庫
エマニュエル フランシス・ルロワ ロマン文庫
南極行の記 西脇昌治 北泉社 単行本
日常語語源辞典 鈴木栄三 東京堂出版 単行本
日本人の生活空間 朝日新聞社 単行本
駅弁学講座 林順信、小林しのぶ 集英社 新書
雑穀のきた道 坂本寧男 NHKブックス 単行本
地理学の方法 ピエール・ジョルジュ 白水社 新書
日本人漂流物語 室賀信夫 新学社文庫 新書
大平洋漂流実験50日 斉藤実 フォア文庫 新書

旺文社文庫の購入が目立つが再読するためと他の文庫にはない短編が所収されているため。単行本は本業の資料用にと求めたものだ。



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