プラ板格闘記・SM54を作る PART4

8月は毎年、超多忙の月だ。模型制作時間がほとんど取れない。仕事の隙をぬってはチマチマと時間をねん出して制作を進めているものの、ほとんどはかどっていないのが現状だ。先月末から今回製作中のSM54の見せ場である大砲の制作に入った。途中まで出来た砲身基部を車体に載せてみたのが上の写真である。完成目標は10月。果たしてこのペースで出来上がるのか?


車体下部ほぼ完成
不十分な資料に悩まされつつも、車体の大組がどうにか完成した。大枚1万円近くをはたいて購入、ひたすら組み続けた可動式キャタピラを仮取り付けしたが、我ながら迫力あるスタイルである。図面でみるとけっこう大きな車輛に見えるが大砲の無い状態ではT35よりもはるかに小さい。フェンダーはプレス溝があるため0.5プラ板にプレス溝に合わせて溝を切り抜いた0.3プラ板を張り合わせて表現した。フェンダーのカーブは平板状態で作ったパーツをパイプに巻き付けクセを付けて徐々に丸めていった。こちらのほうが熱を加えるよりも確実な方法で、特に薄いプラ板は熱を加えると端が縮んでしまうので、安全も考えるとクセをつける方法が安全なやり方である。場合によっては、接着後跳ね上がることがあるが、クセをつける時、ほんのわずかカーブに折り目(プライヤーなどでカーブに合わせて少し折り、もとに戻す事をくり返してRを作る)を入れておくと、ほぼ大丈夫だ。
車体の方はここまでで第一段階終了。この先は上にのせる大砲をまず作ってから制作を開始することにした。アーム基部や砲身のトラベリングロックなどは大砲が無ければ位置決め、修正などが出来ないためである。


大砲の制作
今回の制作でもっともやっかいなのが大砲である。複雑な補器が取り付けられ、写真で見ても構造が良く分からない部分がある。また、図面がラフなため、寸法、ディティールなどそこから掴めない部分が多く、全体の構成も分かりにくい。そこで取りあえずおおまかな形を掴むための図面を引き、写真と照らし合わせながら、当方のイメージで作っていくことにした。資料の見方によって実物の縮小とならず、あるいは間違えてしまうケースもあるが、その当たりは目をつぶらないとこのようなマイナー車輛はいつまでたっても完成しない。図面とはいってもアタリを取るための寸法を記入したラフな線図である。これを元に、作りながら修正を加え、場合によっては現物合わせでパーツを作っていく。ただし、砲尾や固定用シャフト基部などは資料図面を元に、位置を決めている。作りながら気付いた点は、修正する必要のある部分は赤で記入し、先に書いた寸法を間違えて使用しないようにする。アーム基部などRのある部分などはラフスケッチを描いて大まかな形をつくり、ヤスリがけで修正。部分によってはポリパテを盛って削って再現した。
砲身基部は複雑な形をしているがこの辺は良く分からないことと、ほとんど隠れるため、プラ板の箱組で製作した。砲身、駐退器、上下駆動用油圧アームなどはパイプ類を多用することになるが、これは日曜大工店で購入した各種太さのABSやアクリルのパイプを使用している。砲身用は直径16ミリのABSパイプで基部の太い部分は直径19ミリのアルミパイプを使用している。
これから付けていく補器の関係もあって一応砲身は後ろにスライドできるようにしてある。


制作余話・接着剤について
当方のスクラッチに用いる素材はプラ板が主体であり接着はそのほとんどをスチロール樹脂系プラスチック用接着材を用いている。タミヤセメントが入手しやすいため、これで済ませているが、通常用と流し込み用をブレンドし、さらにラッカーシンナーを適度に混ぜて使っている。こうすると接着部のプラを完全に溶かし、溶接した効果が得られるためだ。強度的にも相当強く、少々のことでは剥がれることは無い(難点は臭いが強烈なことだ)。
その他素材の接着にはゼリー状瞬間接着剤を使用する。ただしABS樹脂やアクリルの場合は専用接着剤を使用し、瞬間接着剤を併用する場合もある。金属は強度が必要な場所はハンダ付けを行い、パイピング用の銅線などはゼリー状瞬間接着剤で固定している。
また、角度のある場所の接着には必ず裏打ちをして接着面積を増やしたり、広い面積の平板などは裏にステーを通している。1.0プラ板ではほとんどないが、0.5や0.3のプラ板では波打ったり、そったりするためだ。このように要所要所で補強を入れつつ接着するため、通状のキットとは違って当方のスクラッチ作品は重く仕上がっていく。

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