亀モデル試行錯誤の製作記
夢を形にするために始めた亀モデル。レジンキットを一から開発するのは初めての試みでした。これまで市販のレジンキットを組み立てたりはしてたものの、いざ自分で生産となると未経験の分野だけに分らない事だらけでトラブルの連続です。レジンキットを生産しているキャリアを積んだ方から見れば笑い話に過ぎないかも知れませんが、連日のごとく発生している亀モデルの試みと失敗を紹介します。


原型の製作
原形は本来は歪みのほとんどない金属素材でやるのがベストなのですが。加工技術が無く、扱い慣れたプラ板を主体に製作しています。ただしスクラッチビルドの場合とは違い、抜きを考慮するため、ある程度の厚みを持たせて強度をかせぐように作ります。パーツ分割も後の組み立てを考えながら行います。仮組をくり返し、作り直しも交えながら原形を製作していきます。
Tempo原形製作で一番難儀だったのがフロントマスクとキャノピーガラスでした。最初はプラ板積層から削り出したのですが今一つで、最終的に木型を作ってヒートプレスで作成しました。ファーストロット用の木型はバルサ材でしたが、割れやすい欠点があるため、改修版ではセメダイン社のエポキシ木工パテで作ったムクの削り出しで作っています。この型に熱したプラ板を押し付けてキャノピーフレームの基本原形としています。キャノピーガラスも透明塩ビをヒートプレスして作っています。このプレス用の原形は熱した塩ビ板を押し付け、何度も使用するため、熱に強いセメダイン社のエポキシ金属パテで作っています。このパテは硬化時間が早く作業効率がよく、硬化後は石のようになり、耐熱性もあるのでプレス原形づくりには便利な素材だと思います。ガラス面になる部分は荒研ぎした跡2000番のサンドペーパーで水研ぎし、平滑性を高めさらにコンパウンドで磨きます。ヒートプレスに使っている塩ビ板は韓国製の厚さ0.4ミリ程度のもの。近所の日曜大工の店では最低0.5ミリの板しか売ってなく、しかも熱すると白濁するので使えず、使えるものを各所捜しまわって、白濁がなくて透明度も良い上、価格も安く手に入る韓国製に落ち着きました。
写真
左下:金属エポパテで作ったキャノピーガラス用押し型
右下:フロントマスク用、木工エポパテ製の押し型


小さなパーツの原型はプラ板やプラ棒を削って作ります。バザールセットの野菜や籠はタミヤの速乾エポパテでチマチマと作っています。彫刻に使うのはデザインナイフと、細めの畳針。このパテはベタつきが強いのが難点ですが、硬化までに少し時間があり、細かなモールドが入れやすく乾燥後も強度があるため、小さなパーツ作りには欠かせない素材です。
ベタつきの防止には水を使っています。


ゴム型に悩む
ゴム型は最初は東芝シリコンを使って作っていましたが、硬化剤とゴム色が同じで撹拌しても混合状況が分かりにくく、今はウェーブで発売しているシリコンゴム(中身は東芝と同じだそう)が硬化剤がピンク色で分かりやすいため、そちらを使っています。
ゴム型造りは原型を粘土に埋める作業から始まります。抜きを考えて埋めていかなければならず、ていねいに作業を行わないと型が破損したり、パーティングラインが変になってパーツがゴムに食い付いてしまうので慣れるまでは(今でも手間取ってはいますが)失敗の連続でした。テキストがなく、瓢箪山電気グループのメンバーから教えを頂き、とにかく慣れることということで試行錯誤をくり返して最近やっとほとんどミスなく型を作れるようになりました。とはいっても効率的な型ではなく、空気逃げの問題とか、強引に抜くようになってしまい型がすぐダメになるなど、問題はまだまだ多く研究が必要です。
写真はTempo用のゴム型。パーツ数が大きさの割に多くなってしまい、ゴム型も多くなっています。レジン注入後の硬化待ちの状態ですが大体30個程抜くと型がダメになります。

ゴム型が出来上がると試しにレジンを流してみますが、空気逃げがうまくいかないと不良パーツのオンパレードです。なんでこれがOKでこんな単純なのが空気をかむんだ?なんてしょっちゅうで、そのつど逃げの溝を彫り直しています。大体3回ぐらい流してみると空気を噛む場所が分かりますので、どうしても逃げられない場合は意図的にバリを発生させたり、型のパーツ部分に逃げを作ったりして対応しています。

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