vol.1LA DOLCE VITA-甘い生活ー

夢をみる。夢の舞台は無意識にいままで私がいきて
きた環境。家族や友達や 生まれ育った町、社会。
だけど、目覚めると窓の外から、とろけるように甘
いはちみつ色の壁をした建物が視界に飛びこんでく
る。グリーンの窓枠の下には『PACE(平和)』と
書かれた虹色の旗。恋いこがれたイタリアでの生活
は、胸が熱くなるようなことだらけ。『ラ ドルェ
 ヴィータ』というタイトルのイタリア映画がある。
なんだかうっとりするような甘い響きだけど、 本能
のままに自由気ままな生活を送るという意味(別の
意味で甘い生活?)。

 

 

イタリア人がまさにそう。彼らは、ある程度なり
ゆきにまかせて今をエンジ ョイすることを本能的
に身につけてる。
この国で暮らし始めた時、不便なことの多さにめ
まいがした。何をするにもとにかく時間がかかる。
電車やバスは時間どおりに動かないし、頻繁にス
トライキを起こす(実際、日本を発ってミラノに
着いた瞬間、タクシーのストに遭遇して途方に暮
れた)。駅で切符を買うのも、銀行やオフィスで
何かの手続きをするのにも、長い列を作ってひた
すら待つ。まるで先の見えない暗闇の中にいるよ
うな気分。

だけどそのうち気が付いた。時間はものすご〜くかか
るけど、ひとつひとつ気長にやっつけていったら、い
つもちゃんとうまくできてる。最後には必ずつじつま
が合っていた。
イタリア人が脳天気なわけはこれなのだ!この国で
は、腹を立てるだけ損だもの。生活自体が波瀾万丈で
何が起こるか分からない。でも途中の経過がどんなに
混乱してても、最後につじつまがあえばいい。
肩ひじをはらずに生きて、人生を謳歌する『ラ ドル
チェ ヴィータ』。 おまじないのように唱えたら、明
るく陽気に生きられそう。

   

 

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