vol.7限りなく透明にちかいリグーリアの海で

早朝のパルマの駅から、ジェノヴァ行きの汽車にのっ
た。いくつものトンネルをぬけて、列車は海岸線を走
り、目の前に真っ青な海が広がった。南仏ニースやコ
ートダジュールに続くイタリアンリヴィエラの始点ラ
スペツィアの西側に、ほぼ等間隔に並んだ5つの村チ
ンクェテッレ。海に面したそれぞれの村には海岸沿い
に小道ができていて、村から村へ歩いて訪れることが
できる。私はチンクエテッレのちょうど真ん中、ブー
ゲンビリアの咲き乱れるコルニーリアの駅で降りてみ
た。

  

海を眼下にをながめながら、隣の村マナローラに向
かって歩き出す。途中の散歩道から見下ろす、限り
なく透明に近いリグーリアの海があまりに綺麗で、
何度も何度も立ち止まっては、太陽のひかりと、レ
モンの香りと、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込ん
だ。ローズマリーがいっぱい入ったあつあつのフォ
カッチャと冷えたビールでおなかがいっぱいになっ
た後、再び歩き出す。海に近付いたり、遠ざかった
りしながら歩いてると、突然、岸壁に立ち並ぶ色と
りどりの家が顔を出した。どうやらマナローラに着
いたみたい。

ちょうどお昼どきで、オープンエアーのトラットリア
やリストランテがにぎわっていた。どのお店も店の奥
から魚介類を料理するいい匂いがただよってくる。迷
路のような路地を抜けて、隣町リオマッジョーレに続
く道に出た。ヴィア・デッラモーレ(愛の小道)と呼
ばれるこの道を、何度も何度も立ち止まっては溜め息
をつきながら前に進んだ。この入り江の先に続く、あ
こがれの南仏まで、あとほんの数100H。

   

 

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