悩む力

 

 どんな力でも使わなければ衰えます。悩むのも同じです。
誰だって誤ちをおかしたら悩みますから、悩むのに力はいらないと思うかも知れませんが、そうではないのです。
大変な力がいります。真正面から誤ちを見つめ、そこから新しい自分が生まれてくるように悩み抜くには、大きな力がいるのです。
 しかし、安楽な生き方をひたすら求め続けてきた私たちは、いつのまにか悩む力を失ったようです。冗談の中にごま化し、
感傷的に流し、悩みを悩みとして見つめられなくなりました。私たち現代人は悩みに対して劣弱であるようです。

藤木正三(牧師 1927〜 『神の風景』より)

 

 

 

 人生というものは、苦悩の中においてこそ最も偉大で実り多く、かつまた最も幸福である。

ロマン・ロラン(フランスの小説家、思想家 1866〜1944 『ベートーベンの生涯』より)

 

   

 

 

福音社『サインズ・オブ・ザ・タイムズ』2008年11月号 今月の言葉より引用